虫垂炎の手術後

虫垂炎は簡単なようで実は非常に診断が難しい病気です。とはいえ、診断がつくまで1週間かかってしまったのは大変でしたね。炎症がひどい場合、虫垂は豆腐のようにもろくなっているのでとりだすときに破裂してしまうことはあります。5cmの傷というのは少し大きめですがとてつもなく大きな傷というわけではありません。いわゆる普通の虫垂炎に比べて大変だったのだな、ということで仕方がないかとも思います。虫垂炎のような開腹手術の場合、筋肉を切りわけて腹部に入っていくため、切ったり縫ったりした筋肉や筋膜に痛みを伴います。傷が5cmということは、その中の筋肉・筋膜は約10cmにわたって切っているのが一般的です。見える傷は小さくしつつなるべく視野を確保するため皮下の部分で切り拡げるのです。なので少し広い範囲に痛みが走るかもしれませんが、術後1週間ということなのでそれ自体は異常なことではありません。1カ月くらいかけて徐々に痛みがなくなってきます。また傷を縫ったところというのは2－3層にわたって縫っているので、表面の皮膚だけでなく皮下にも同様の縫合部分があります。切ったり縫ったりして治ると組織が造成して硬くなるためしこりのように触れるのも通常の課程なので心配する必要はありません。ただ虫垂炎は無菌的手術ではなく、術野が虫垂内の消化液などに触れてしまう手術のため、おっしゃる通り術後しばらくして傷が感染してくることはあります。安静時に動かなくても痛む場合や傷の周囲が赤くなってきた場合などは処置が必要になるので、すぐに手術をした病院を受診するようにしてください。その場合でももう一度手術をしなければならなくなることはほとんどありませんが、傷が治るまでは少し時間がかかり通院を要します。