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相談者

MRSA保菌者とは

相談者:ころんさん(34歳/女性)

少し前に高熱後に陰部の痒みがあり婦人科へ行き、菌の培養検査をすると、MRSAが2+と出ました。

3年ほど前、私の父が胃がんの術後、傷口がなかなか塞がらず、どうしたものかと思っていた際に創部の培養検査でMRSAの感染が発覚し、病棟ではゴミ箱のゴミも一般の入院患者さんとは別、医師の回診時も手袋をその都度換える等していた為、重大な感染症なのだという認識がありましたので、今回のMRSAにはかなり驚きました。

ただ、健康な人にとっては問題なく、弱っている方にとっては怖い菌だということはわかったのですが...

ちなみに主人は消化器クリニックの門前薬局に勤めていますが、そこからMRSAを多く連れて帰ってくる等もありえますか?
薬局なら患者さんに直接触れることもないのでその可能性は少ないですかね...

1つどうしても知りたいのですが
私は今後、バンコマイシンなどで治療をしない限り、【保菌者】ですか?
お見舞いや、赤ちゃんに会うことは避け続けなければいけませんか?

治療しなければ一生?

それとも、免疫が上がれば自然とMRSAが検出されなくなることもありますか?

ここがどうしてもわからなくて
自分が今後どうしたらいいのかわかりません...。

相談者に共感!

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2016/04/28 22:59

質問、有難うございます。
まず注意しなければならないのは、細菌培養でMRSAが検出されても、「たまたま混ざった可能性が有る」という事です。
たまたま混ざった場合には、御本人さんは保菌者では無いと言えます。

しかし、何度検査をしても、同様の菌が検出される場合は、残念な話ですが、御本人さんは保菌者と言えます。
そして、一度保菌者になると、治療しない限りは、大半の場合、今後も保菌者になります。免疫が上がるという事も関係無いです。

保菌者である場合には、周囲に可能性は低いながらも、感染をばら撒く可能性が有ります。お見舞いは控えた方が良いと思います。
赤ちゃんに触るのも、控えた方が良いと思います。

保菌者の場合には、今後、免疫力が低下した場合に、MRSAが暴れる可能性が有ります。
その時に初めて、抗MRSA薬で治療しなければならない事になります。(医療では、MRSAが暴れていない場合には、抗MRSA薬を投与しません。投与しても、再度保菌するケースが有るので、治療が無駄になるからです。)

とりあえず、御自身がMRSAを保菌している可能性が有る事を覚えていてください。
医療機関を受診した際にも、MRSAが検出された場合に、「以前にも指摘された経験が有ります」というようにして下さい。

ちなみに、門前薬局ではMRSAを貰う可能性は少ないと思いますが、金銭の受け渡しが有るならば菌を頂く可能性は有ります。その辺も気をつけて下さい。

回答は以上です。
他に疑問が有りましたら、気軽に相談して下さい。

2016/04/28 23:46

相談者

ころんさん

ご回答ありがとうございます。
父が末期胃がん患者で、今はすこぶる元気ですが、いつかは大変な時期になると思います。そういった時期に側にいられないのは考えられないのですが、その旨医療機関で話せば治療してもらえるのでしょうか?
医師の考え方によるのでしょうか...

近日胃カメラを行うのですが、クリニックには伝えた方がいいですか?

また、性交渉時に口や陰部から性感染のようなことも考えられるのでしょうか?

2016/04/29 10:49

質問、有難うございます。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、皮膚に常在しているMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)が、メチシリンに対して耐性を獲得したものです。
それを踏まえると、極端な話、MSSAがMRSAに置き換わり、MRSAが皮膚に「常在する」といった現象も起こりうるという事です。

その菌が、口・陰部に存在する場合は、性交渉時に他の人に感染する事も有り得ます。
但し、巷で言われるような「性感染症」とは、イメージが異なります。
巷で言われる「性感染症」は、クラミジア・淋菌・梅毒のように、「健常者、病気の人」に関わらず、ジワジワと症状を進行させるイメージです。性交渉に伴う感染確率は高めです。
それに対して、MRSAは、とりあえず人の体に付着して(付着された人は保菌者になる)、その人の体に居つき、免疫力に問題が無ければ、「悪さしない」菌です。接触した場合の感染確率は低めです。
「手当たり次第に症状を出す、性交渉に伴う感染確率は高め」か、「症状を出す人を選ぶ、接触による感染確率は低め」かで、イメージが異なります。

そのため、MRSAを性交渉・性感染症と繋ぎ合わせない方が良いです。
MRSAを保菌しているという事は、性交渉の有無に関わらず、「接触する事で、他人に感染させる」といったイメージになります。

保菌している可能性が有る御本人さんとしては、「厄介な菌に居つかれた」といった感じと思います。
自分も、一人の人間としては、そんな感想を持ちます。
しかし、医師としては、「とにかく感染を広げないで。感染を広げない限りは、貴方を管理するだけで済むから。(管理すべき人数が少なくて済むから。)」「保菌者への抗MRSA薬投与?下手に投与しても、新たな薬剤耐性菌を増やすだけ。御本人さんに悪さしなければ、投与は見送りましょう(御本人さんの免疫力が弱まれば、悪さする事があるでしょうから、その度に抗MRSA薬を投与しましょう)。」といった感じです。

「歯に衣着せぬ」形で、記載させて頂きました。御本人さんにとって、嫌と思える記載も有ると思いますが、これが医師の考えと受け取って頂いて構わないと思います。(勿論、実際に説明する際は、もう少し、柔らかい言い方をしますが。)

胃カメラをする際は、クリニックに伝えた方が良いです。
胃カメラの洗浄を綿密にしないと、他の方々への感染の可能性が高まるからです。(但し、現状でも胃カメラの洗浄はかなり綿密です。そのため、感染確率は、0.01%に満たないレベルと考えます。)

回答は以上です。
他に疑問が有りましたら、気軽に相談して下さい。

2016/04/29 11:17