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心療内科

相談者

授乳中のジェイゾロフト

相談者:しーちゃんママさん(36歳/女性)

もうパニック障害なって約20年です。妊娠前はジェイゾロフトを毎晩、ソラナックスを頓服で服用していました。
しかし、妊娠~授乳の為、ジェイゾロフトは断薬、ソラナックスを本当に辛い時のみ減薬して半錠になっています。

仕事復帰をしたことにより、電車や外出の機会が多くなり、毎日パニック発作に怯えた生活になっており、満員の通勤電車やレストランなど憂鬱で怖くてたまりません。
子供はもうすぐ2歳になり、授乳は夜寝る時、たまに夜中起きた時のみで、娘にとっては食事で栄養は摂りているので、おっぱいをくわえることにより安心して眠るという感じです。
薬を服用したいので、主治医に相談したところ、ジェイゾロフトもダメ、ソラナックスも半錠しかダメ、飲みたければ断乳してと言われました。断乳はしたくないです。

ネットで調べると、ジェイゾロフトやソラナックスはさほど授乳に影響 はないと出てきますが、やはり夜間
のみ授乳の今の状態では、ジェイゾロフトの服用、ソラナックスの増量はダメなのでしょうか?
それとも、大丈夫そうなのであれば、転院を考えています。

また、もういい加減パニック障害を治したいです。旅行、外食、何も楽しめません。効果的な治療はありませんか?発症からずっと薬を飲むのみの治療です。
お願いいたします。

相談者に共感!

1

2016/08/17 13:42

しーちゃんママさん、こんにちは。
20年来のパニック障害ということで大変苦労なさっているだろうとお察し致します。
本当に頭が下がります。

さて、ジェイゾロフトとソラナックスの授乳による児への影響についてですが、
ジェイゾロフトの影響は極めて少なく、ソラナックスの影響はしなくもない、
と考えられます。我々の参考にする指標の一つに「Medication and Mothers' Milk」
というものがあります。これはお薬を服用中の母親から児にどの程度影響するか、
をデータ化したものです。危険度の表示はL1~L5の5段階です。

L1:多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスク
は示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。

L2:少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。

L3:授乳婦の対照試験はないが、児不都合な影響が出る可能性がある。又は対照試験でごく軽微で
危険性のない有害作用しか示されていない。母親の潜在的な有益性が児の潜在的なリスクを凌駕する
場合のみ投与(論文でのデータがない新薬は安全と考えられても自動的にL3)

L4:児や乳汁産生にリスクが有るという明らかな証拠があるが、授乳婦の有益性が児へのリスクを
上回る場合は許容。

L5:授乳婦の研究で児に重大な明らかなリスクがヒトでの使用経験を元に示されている。よって児に
重大な障害を引き起こすリスクが高い。母乳育児の女性は禁忌。

まとめますと、L1は安全の可能性が高く、L5にいくほど危険である、という意味合いになります。
ちなみにジェイゾロフトはL1、ソラナックスはL3、表記となっております。ですので、ジェイゾロフトは
安全と考えられ、ソラナックスは児に不都合な影響がでる可能性はある、ということになります。
私でしたら、このようなデータからは、しーちゃんママさんに対して、ジェイゾロフトは再開・増量し、
ソラナックスは現状をキープ、といった形での指導をするかと思います。ただ、このあたりは、
医師の考えや経験則の部分もありますので、L1だから絶対に安全と言い切れるわけではなく、
現在の主治医の先生の経験や考えから現在の方針になっているのであろうと推測致します。

なお、20年来のパニック障害ということですが、妊娠前はジェイゾロフトは何mg服用されておりましたか?
パニック障害が遷延してしまっている場合、ジェイゾロフト等の服用量が不十分な場合があります。
ジェイゾロフトは十分量が100mgですので、完治を目指すのであれば、私であれば、100mgまで
量を引き上げ、それを継続する形をとるかと思います。ジェイゾロフト100mgでパニック発作を
抑え切れていないようであれば、ほかの薬剤へ変更か、追加を考えるかと思います。
うまく主治医の先生と疎通をはかれればよいのですが、うまく行かない場合は転院もありかもしれません。
パニック障害の場合は、十分な薬物療法に加え、症状をコントロール出来ている上での、
カウンセリングもときに有効です。治療のマンネリ化もありうるかもしれませんね。

よろしければ、ご参考下さい。

相談者

相談者からのお礼

とても丁寧にわかりやすく、ありがとうございます。助かります。

回答に納得!

1

2016/08/17 15:03

相談者

しーちゃんママさん

妊娠前ジェイゾロフトは100、ソラナックスは0.4です。
今はソラナックスはその半錠になっています。
ソラナックスの方が授乳への影響は高いとされているのですね。
では、ソラナックスを減薬、ジェイゾロフトを続けてというふうに何故しなかったのでしょうか?妊娠中から、ジェイゾロフトなし、ソラナックス半錠に変わったのですが、妊娠中と授乳中ではそれらの薬の危険度?が違うのでしょうか?

パキシル?やほかのお薬も試したことがありましたが、吐き気などで結局のところ、ジェイゾロフト+ソラナックスで落ち着いていました。
他に合うお薬などもあるとよいのですが。
また、カウンセリングは医師がするのですか?している病院を探して、投薬とは別に通院するのでしょうか?自費になりますか?

相談者に共感!

1

2016/08/17 17:12

ご返信ありがとうございます。
引き続き、お答えさせて頂きますね。

薬剤の妊娠中の胎児への影響と、授乳中の乳児への影響は、異なります。ですので、
授乳中の影響が少ないから、妊娠中の胎児への影響が少ないとは言いきれない経緯が
あります。ちなみに胎児への影響を判断する材料に「米国FDA基準」、
「オーストラリア医薬品評価委員会の分類基準」があります。米国FDA基準では、
A, B, C, D, Xと5つのカテゴリーにわけられ、Aは安全、Xは禁忌となっております。
ジェイゾロフトはこのうち真ん中のC、ソラナックスはカテゴリーにふられておりません。
この解釈と主治医の先生の判断としては、個人的には間違った判断だとは思いませんし、
私も主治医の先生のとおりの対応をしていた可能性があります。原則、妊娠中は、
薬剤を中止する、それが厳しければなるべく減らす、という対応が取られることが多いです。
ジェイゾロフトなどの定期服薬をなくし、ソラナックスを頓服として必要な時だけ使うという考えは
頓服ならば胎児への蓄積する影響は少ないだろうと推測して頓服使用を判断するかとは思います。

ジェイゾロフトは100mgと十分量が用いられていたのですね。パニック障害に一般的に用いられる
SSRIといわれる副作用の少ない抗うつ薬は、ジェイゾロフトのほかに、パキシル、レクサプロ、
ルボックス(デプロメール)があります。ジェイゾロフトがチョイスされやすい理由は、便秘になりにくく
女性に使いやすい面もあるため、私も女性の方に対し、よくジェイゾロフトを用います。これらのお薬で
使ったことがないものがあれば、変更を試みるかもしれません。また、すでに試されずみであれば、
ジェイゾロフトにプラスすることも考えるかもしれませんが、ただ、吐気等の副作用は出やすくなる
可能性はあります。あとは、SSRIと言われる抗うつ薬よりも昔の抗うつ薬で三環系抗うつ薬と
言われるものがあり、効果は強力ですが、一方で強力な便秘やふらつきにみまわれることがあります。
便秘が気にならない場合は、私であれば、三環系抗うつ薬への変更を試みるかもしれません。

なお、カウンセリングについては、一般的にはカウンセラーが行うことが多いです。診療とは別で、
自費の形にはなってしまいます。おかかりのクリニックあるいは病院でそのような案内がない場合は、
別途、別のクリニックにかからないといけなくなってしまうかとも思います。その場合は、転院を要する場合も
ありますし、転院しないでもOKと言ってくれる医療機関もあり、それはクリニックの方針によるかと思います。
ちなみに私の勤めているクリニックでは、転院しないでもカウンセリングは受け入れております。
ちなみにカウンセリングルームなどの病院やクリニックとは併設されていないところもありますが、
正直なところ、いいか悪いかはよく分かりません。自費の料金体系もピンキリの可能性があるのではないかと
推測致します。クリニックや病院の併設のカウンセリングについては私の関わった医療機関では、
腕前が怪しい印象は特にないです。

またまた長文になって申し訳ありません。よろしければ、ご参考下さい。
また、ご質問等ございましたら、遠慮なくお問い合わせください。

相談者

相談者からのお礼

本当にご親切にご丁寧にありがとうございました。こんなにわかりやすいご説明をしてくださるのなら、先生のお勤めの病院に通院できたらよいのにな、と思ってしまいました。
克服目指して頑張ります。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

回答に納得!

1

2016/08/17 17:47